溶脱の速さの違い

土壌から水と一緒に成分が抜け出すことを“溶脱”といいます。今回は3つのグループに分けて、溶けだしやすいもの、中間のもの、蓄積しやすいものについて解説します。

最近では、リン酸肥料のやりすぎが問題になっています。動画では、土壌に吸着すると移動しないイメージになっていますが、土壌に吸着できる以上に蓄積するとリン酸も溶脱します。

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土壌から水と一緒に成分が抜け出すことを“溶脱”といいます。今回は3つのグループに分けて、溶けだしやすいもの、中間のもの、蓄積しやすいものについて解説します。最近で…

今回は、溶脱の速さの違いについてです。

土に肥料をやった後、その養分は土の中でどうなると思いますか?

水と一緒に抜け出てしまうことを溶脱といいます。

溶脱の速さについては大きく3つのグループに分けられます。今回の動画で、どのグループが溶脱しやすく、または溜まりやすいといったイメージがつきます。

それぞれのグループについて紹介します。まず1つめのグループです。それは、水に溶けるとマイナスを帯びる“マイナスイオングループ”です。

このグループには、硝酸イオン、硫化物イオン、塩化物イオンが該当します。

それぞれのイオンは、窒素肥料、塩化カリといった肥料に含まれています。

2つめのグループは、水にとけるとプラスを帯びる“プラスイオングループ”です。

このグループには、カルシウムイオン、マグネシウムイオンが該当します。これらの成分は、土壌の酸性を改良する際に用いる炭酸カルシウム、苦土石灰といった資材に含まれています。

最後3つめは“特殊グループ”です。さきほどの2つのグループには当てはまらない動きをします。

リン酸イオンが該当します。リン酸は水に溶けるとマイナスイオンになるのですが、違った動きをします。

それでは少し競争させてみましょう。みなさんは、どのグループが溶脱しやすいと思いますか?それでは、よーい、スタート!

同じように雨が降ってくると、、、マイナスイオングループが一足先に溶脱してきました。一方の特殊グループは、微動だにしていないです。。!!

マイナスイオングループが一番先に溶脱した理由は、土壌がマイナスを帯びているためです。

吸着されず雨水と一緒に流されてしまいます。プラスイオングループも少しずつですが、雨水と一緒に下方に移動します。

養分が溶脱して河川などに流れこむと、河川の富栄養化と、生態系への影響の問題にもつながります。肥料をやって作物は大事に育てたいけど、適切な施用量は守っていきましょうね。

★補足情報★

(参考書籍)

新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]、2018、農文協