有機態窒素の秘密?

今回は、窒素の重要な要素である「有機態窒素」に焦点を当てました! 植物残渣や微生物菌体に含まれ、窒素肥料の施用を効率化するヒントもお届けします。有機態窒素からの無機化量を計算するアプリについて説明するので、ぜひ使ってみてね。窒素肥料の適正な使用を知り、作物の健康を保ちましょう!

窒素関連の動画を続けて投稿してきましたが、最後は有機態窒素について紹介します。
有機態窒素は植物残渣や微生物菌体などからなる土壌有機物に含まれる窒素の事です。
窒素肥料の施用を効率化するヒントになれば、幸いです。

初めに少し言葉の整理です。
有機態窒素以外にも、地力窒素や可給態窒素とか、聞いたことありませんか?学術的な言葉もあるけど、基本的に、これらの窒素が分解を受けると植物は吸収できます。だいたい似たような言葉かもですが、大雑把に説明しすぎると一生懸命研究している人に、少し叱られちゃうかも?

土の中には有機態以外にもアンモニア態や硝酸態もあります。こちらの窒素は無機態窒素といいます。でも、土壌中ではほとんどが有機態窒素で、土壌のタイプによって違いますが、だいたい85~95%が有機態との報告もあります。

有機態窒素の一部は時間が経つと、無機態窒素になります。これを無機化と言うのですが、大まかな流れは、有機態窒素の、例えばタンパク質の場合、それがアミノ酸になりアンモニウムイオンに変わっていく感じです。無機化されたものが植物に吸収されていきます。

土壌のタイプによって有機態窒素が占める割合が違うと言いましたが、それに加えて無機化してくる量も土壌によって違います。この“量“を知っていると、使う窒素肥料を減らせそうなんですよね。

そのためには、反応速度論という考え方を使います。難しいので、簡単に無機化量を計算してくれるアプリを紹介します。
日本土壌インベントリーっていうサイトがあって、その土壌管理アプリ集の“畑土壌由来の可給態窒素見える化アプリ”が便利です。土壌分析をおこなった際の“可給態窒素”の数値があれば、無機化量を考慮したうえで使う窒素肥料の量を提案してくれます。

窒素肥料は生育に大事ですが、窒素が多すぎると作物は病気にかかりやすくなります。そういった予防にもなるので、分析結果がある人は是非使ってみてくださいね。

★補足情報★

(参考書籍)
新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]、2018、農文協
土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版

(参考文献)
土壌に蓄積している窒素の形態分別法の検討、小田島ルミ子 阿江教治 吉光寺徳子 松本慎悟、日本土壞肥料学雑誅第76巻第6号p.833〜841(2005)

(動画で紹介したサイト)
日本土壌インベントリー
https://soil-inventory.rad.naro.go.jp/