土壌微生物をイメージしよう④

農学部の教科書に「菌根菌」って少ししか載ってないけど、植物と共生してすごく役立つ存在です。今回の動画では、菌根菌の基本、植物への貢献、ネギ栽培での活用例まで解説しています。土壌と作物の関係をもっと深く知りたい農学部生必見!菌根菌の可能性を一緒に学ぼう!
今回は、作物に関わる土壌微生物をイメージしてみよう!
その④、菌根菌について紹介します
菌根菌の概要や、植物への貢献
農業現場での活躍といった点を説明します
菌根菌と、農業との関わりが深まる動画となっています
まず、概要について
菌根菌は、高等植物の根と共生して複合体をつくる菌類のことです
森で発見できるキノコも、菌根菌が姿を現した状態です
共生しているので、(植物に)役に立つ菌のはずなのですが
具体的な情報って、意外と教科書に少なかったりします
理由の1つに、共生関係が複雑なことがあげられます
菌根菌といっても様々な種類がいて
植物の種類を限定せずに、横断的に共生できる仲間もいたりします
また菌根菌を含む菌類が
私たちと同じ真核生物であることも、(情報が少ない)理由にあげられます
前回の動画で出てきた細菌よりも、菌類は構造や働きが複雑です
人口培養についても菌根菌は、長らく困難と考えられていたので
詳しい情報が少ないのです
でも、貢献している内容は分かっています
菌根菌の(植物への)貢献ですが
目立っているのが、肥料の三大栄養素の1つのリン酸と
水分を植物に供給できることです
仕組みについてですが
土の中に広く張り巡らされた菌根菌の菌糸が、リン酸や水分を吸収し
共生している植物に供給するのです
昨今の高温・乾燥状態に対して
菌根菌って役に立ちそうじゃないですか?!
最後に、農地土壌での活躍の可能性を紹介します
今回は、菌根菌をネギに接種した試験結果を紹介します
接種の有無の影響なんですが、接種するとネギの収量は良くなります
ただし、土のリン酸が土100gあたり
60mg以下で良かったみたいで
土にリン酸がたくさんあると
ネギの収量に違いはなかった、とのことです
野菜畑のリン酸は
全国的なモニタリング調査の結果をみても、蓄積傾向にあります
菌根菌を共生させて、栽培に活用したい時は
土壌分析して確認しておくことが良さそうです
参考になる部分はありましたか?
教科書やテキストで見てきた菌根菌と農業との関わりは
深めてもらえたでしょうか?
次回は、これまでの微生物とシリーズのおまけを投稿します
★補足情報★
(参考書籍)
新版土壌肥料用語辞典 編者 藤原俊六郎 安西徹郎 小川吉雄 加藤哲郎、2005、農文協
土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版
菌根の世界 -菌と植物のきってもきれない関係- 齋藤雅典、2020、築地書館
エッセンシャル土壌微生物学 作物生産のための基礎 南澤究 妹尾啓史[編著者]青山正和 齋藤明広 齋藤雅典[著者]、2021、講談社
日本の土壌事典 分布・生成から食料生産・保全管理まで 日本土壌肥料学会 日本ペトロジー学会[監修]、2023、朝倉書店
(参考文献)
アーバスキュラー菌根菌の純粋培養に世界で初めて成功~微生物肥料としての大量生産に道~科学技術振興機構
農耕地土壌の可給態リン酸の全国的変動農耕地土壌の特性変動(II)小原洋 中井信、日本土壌肥料学会雑誌第75巻 第1号p.59-67(2004)