窒素はどこに消えた?③ 畑地土壌の場合

畑地土壌の窒素について説明します。窒素ってどこに行くのか、気になりますよね?
畑地土壌は水田と違って、酸素が多く好気状態。これが窒素の移動に影響します。ただし、降雨などで一時的に還元状態になると、窒素は細菌の影響を受けるんです。作物の吸収率改善の方法も紹介しています。

【032】窒素はどこに消えた?③ - YouTube

畑地土壌の窒素について説明します。窒素ってどこに行くのか、気になりますよね?畑地土壌は水田と違って、酸素が多く好気状態。これが窒素の移動に影響します。ただし、…

前回の水田土壌の場合に引き続き、畑地土壌の報告を紹介します。

動画では、降雨の影響がある露地栽培をイメージします。今回もいくつかの報告を組み合わせて紹介していますので、説明する数字は目安として見てくださると幸いです。使う肥料を見直すきっかけになればと思います。

土壌中の窒素の変化について全体像を簡単におさらいします。

今回の動画もアンモニア態窒素、硝酸態窒素の窒素形態をスタートに考えます。

畑地土壌は、酸素が少なく嫌気状態・還元状態が多い水田土壌とは異なり、好気状態・酸化状態が多いです。窒素の移動に関しては、この状態の違いが、窒素の移動の違いの要因にもなっています。

ただ畑でも、降雨などがあると土壌は一時的に還元状態になります。この時窒素は、還元状態で活動する細菌などの影響を受けます。

では畑地土壌に窒素を施用してみましょう。

畑の場合では、作物が吸収する量は、施用量の20-60%ともいわれています。溶脱が20-50%あたりの報告がおおいようです。

また脱窒は平均15%ともいわれています。温室効果ガスの一酸化二窒素の放出は、施肥窒素の1%以下の報告が日本ではおおいです。脱窒は酸素がない還元状態でおもに起きるのですが、畑では降雨のあとに一時的に還元状態になるため脱窒が起こります。この時、土壌が酸性だと発生する一酸化二窒素の割合は高まります。

あと、硝化による一酸化二窒素の発生もありますが、施肥量に対してとても少ないと報告されています。

これらの値を整理すると水田と同様、どの移動もある程度起きています。施用する肥料が多いと吸収率は下がりやすく、また溶脱率はあがりやすいです。

このような窒素の移動があるため、肥料の吸収率改善には緩効性肥料や、硝化抑制剤の利用も提案されています。

★補足情報★

(参考書籍)
土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版
作物生産学(II)-土壌環境技術編- 編集者 松本聰 三枝正彦、1998、文永堂出版

(参考文献)
総説 農耕地からの窒素・リンの流出、竹内 誠、日本土壌肥料学会雑誌 第68巻 第6号p.708-715(1997)
自然界における脱窒過程、和田 英太郎、 上原 洋一、化学と生物 Vol.15, No.2 p.98-110
肥効調節型肥料および硝酸化成抑制剤入り肥料による亜酸化窒素の発生抑制効果、渡辺 武 石川隆之 陽 捷行、日本土壌肥料学雑誌 第70巻 第6号 p.747〜753(1999)