窒素はどこに消えた?① 土壌中の窒素の変化

今回は窒素肥料の重要性や、その施用後の変化に焦点を当てています。

窒素はどこに消えた?を3回に分けて説明します。☆

窒素は、リン酸と加里に並んで、作物を栽培するときの肥料3大栄養素の一つです。肥料をまくときの量って、何か考えたことありますか?

作物が十分育つように、生育に必要な量より多く施用することが多いです。

初回は、施用した後の窒素分が土の中でどのように変化するのか紹介します。変化とは、窒素の形態の変化と、土の中で窒素が移動する量の変化の意味で使います。肥料をやったあとの土の状況を少しでも想像してもらえたらうれしいです。

まず、肥料に使われる窒素の形態について、簡単に3つ紹介します。

1つ目はアンモニア態のもの。硫酸アンモニウム、尿素などがあたります

2つ目が硝酸態のもの。水稲の追肥に使われる硝酸カルシウムなどがあたります

3つ目が有機態のもの。ナタネ油粕や米ぬかなどにはタンパク質やアミノ酸を構成している窒素が含まれています。

動画では、アンモニア態、硝酸態の窒素に焦点をあてて、どう変化するか紹介します。

では、土壌中の窒素の変化について説明します。まず窒素の形態ですが、有機態、アンモニア態、亜硝酸態、硝酸態、一酸化二窒素、窒素ガスがあります。

化学肥料として施用されたアンモニア態、硝酸態の窒素は、土壌の中で様々に変化します。これらの変化は土壌微生物によるものです。また、窒素の移動ですが、おおきく作物への吸収、溶脱、脱窒の3つが挙げられます。

肥料を施用したら、できるだけ作物に吸収されてほしいですよね。溶脱すると、河川の富栄養化などの環境への負担につながるし、脱窒も窒素ガスになってしまうのはもったいない気がします。一酸化二窒素は温室効果ガスなので、発生量の削減が必要な物質です。

窒素肥料は栽培にとって大事ですが、環境のこともちょっぴり頭にいれて効率よく施用したいですね。

★補足情報★

(参考書籍)

土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版

作物生産学(II)-土壌環境技術編- 編集者 松本聰 三枝正彦、1998、文永堂出版

エッセンシャル土壌微生物学 作物生産のための基礎 南澤究 妹尾啓史[編著者]青山正和 齋藤明広 齋藤雅典[著者]、2021、講談社