土のpHをあげよう③

土壌pHを上げたいときの参考になるような動画をつくりました。3本シリーズの最終回です。前出の2本と合わせてみていただくと、土壌や土づくりの奥深さを感じていただけると思います。

もう少しだけ土壌のpHを上げれば、栽培の最適範囲におさまる現場向けの動画です。

考え方の一例です。試される場合、責任は負えません。ご自身の責任で取り組まれるか、近くの農協・普及センターにご相談ください。

今回も、土壌のpHをあげようについてです。3つの動画に分けて説明しています。今回は最終回です☆前回まで土のpH、資材、効果を感じづらい土壌の特徴についてお伝えしました。では、実際どのような方策があるか、その考え方を紹介します。土づくりにとりくむきっかけになればうれしいです。

まず、おおまかな方策の方向性を説明します

私が土壌のテキスト、たくさん見てきた土壌分析結果などから推論しているものです。いろんな人の考え方、経験がありますので、参考程度にきいてください。今回は、風雨があたる露地野菜・草地・畑作栽培の場合を想定しています。

パターンごとに説明します。

まず、パターンAです。

pHが5.8未満だった場合、5.8以上でも土の腐植が少ない場合は、炭酸カルシウムや苦土石灰などの石灰資材を投入します。

これらの資材は、pHが酸性よりで比較的溶けやすく効果が期待しやすいなどの理由があるからです。

パターンBのpHが5.8以上で腐植が多いときはどうしましょうか。

生産者のかたの話でも、石灰資材の効果を感じづらいと話がのぼる範囲です。

とくに、前回の動画のように、石灰資材の利用で、CECが増加する考慮も必要で、複雑です。

でも栽培で、最適なpHが6.0-7.0なのに、いまはpHが5.8で改善が必要なときってありますよね。

この場合、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムといった資材を検討してみてください。

これらの資材は、pHの改善が主な目的の資材ではありません。水に溶けやすいのが特徴で、カルシウム、マグネシウム、硫黄分の補給が目的です。

お勧めする理由は、1つが水に溶けやすいことと、もう1つは作物の生育には土のpHも大事ですが、カルシウム、マグネシウムが溶けて作物が吸収しやすことも大事だったりします。

私が土壌を把握するときも、土のCECや腐植の数値をみて、pH改善の方向性や優先順位を考えたりします。

一度も土壌分析したことない人は、ぜひ専門機関などに出してみてね。

分析結果がある人は見なおしてみてね。

☆補足情報☆

(参考書籍)

土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版

新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]、2018、農文協