土壌微生物をイメージしよう②
土壌微生物の世界へようこそ!今回は根圏と非根圏の微生物の違いについて解説します。根の周りに集まる微生物の数や種類に注目し、作物にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
ひかる泥団子チャンネルです
今回は、作物に関わる土壌微生物をイメージしてみよう②です
根圏と非根圏の土壌微生物の違いを説明します
講義などで、いろんな土壌微生物の名前が出てくるかと思いますが
今回は具体的な名前とかは出てきません
おおまかな違いを見ていってね
内容は、数とか種類についてです
まず、数についてです
根圏の方が、非根圏の土壌よりも微生物は多くなっています
どの範囲で多くなるかというと
畑の場合は、根から1mm以内の範囲で微生物が多く集まっています
根圏の分泌物の影響は、根から1cm程度と言われています
では根圏と非根圏で、どのくらい数の違いがあるのでしょうか?
古い報告ではありますが、細菌の数について調べたものがあります
畑作物では、26 - 120倍の違いがあります
イネの場合、湛水しているときに0.6 - 2.9倍です
イネは湛水しているので、根圏の効果が小さいみたいです
また、根のどの部分でも多いわけではないようです
土壌微生物が、多いところと、少ないところがあります
数については、これくらいにします
次に、微生物の種類についてです
根圏には、たくさんの微生物がいるのですが
じつは特定の菌が増えていて、多様性は低いです
多いときは、120倍も多くいるのに
種類は多くない(少ない)って、少し不思議ですね
微生物の種類でいうと、細菌の方がよく増えるのですが
これは、グルコース・ミネラル・アミノ酸といった単純な栄養素で
生育できる仲間が多くいるからです
分類でいうと、グラム陰性菌に属する細菌がよく増えます
糸状菌も、特定の種類が根圏にいます
よく知られているのが、菌根菌です
根に直接くっついて、植物の生育に良い影響を与えています
植物と菌根菌は、共生関係にありますよ
また、根に直接くっついてはいないけど
植物の成長を良くする糸状菌もいて
これらは、PGPF(植物生育促進菌類)と呼ばれます
いかがでしたか?
根圏と非根圏の土壌微生物のイメージはつきましたか?
次回は、作物栽培に関わる微生物・根粒菌について紹介します
では、また次の動画でお会いしましょう
(参考書籍)
土壌微生物の基礎知識 西尾道徳著、1989、農文協
新版土壌肥料用語辞典 編者 藤原俊六郎 安西徹郎 小川吉雄 加藤哲郎、2005、農文協
根の事典 新装版、根の事典編集委員会、2009、朝倉書店
菌根の世界 -菌と植物のきってもきれない関係- 齋藤雅典、2020、築地書館
エッセンシャル土壌微生物学 作物生産のための基礎 南澤究 妹尾啓史[編著者]青山正和 齋藤明広 齋藤雅典[著者]、2021、講談社