土の硬さについて① 作物や作業への影響
土の硬さが作物と農作業に与える影響を解説しています。作物の生育や収量低下、農作業の際の土の適切な硬さについてなど、土壌の物理性に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
今回は、土の硬さについてです。3回に分けて解説します。
今回は、土の硬さが作物や農作業に与える影響について解説します。
土壌の物理性に興味をもってもらえたり、土づくりを取り組むきっかけになればうれしいです。
まず、土の硬さが作物に与える影響について紹介します。
例えば、畑作などの場合、ロータリーなどで耕すことで、土に空気が入ることで柔らかくなります。ただ、柔らかくなるのはロータリーの歯が届く深さまでです。それより下の層には硬い層ができやすくなるためです。耕(硬)盤層とます。
このように土が硬くなると、作物は根を深いところまで伸ばすことができなくなり、小麦の場合では収量が悪くなることがあります。
また、果樹園では一度植樹すると更新まで全面的に土を耕すことはありません。また除草剤散布用の作業機械などが通り、踏みつけられることで土が徐々に硬くなりやすいです。
ミカンでは安定生産が難しくなったりする報告があります。
次に土の硬さが農作業に与える影響についてです。
農作業の場合は、土が柔らかすぎることにより影響を受けることがあげられます。
北海道など、冬に雪が積もる地域では、雪解け直後の柔らかい土は柔らかいです。柔らかすぎると作業できません。
トラクターなどの機械にのって荒おこしや施肥などの作業をする場合、一定の土の硬さが必要です。
なぜなら土が柔らかいまま圃場に機械を入れてしますと、土に機械の足がとられ、埋もれてしまうからです。
雪が積もる地域では、春先の圃場の状況確認や作業計画が大事になります。
ロータリー耕では0.25Mpa、プラウ耕では0.4MPa以上の硬度が必要とされています。
★補足情報★
(参考書籍)
図解でわかる品目・栽培特性を活かす土壌と施肥、著者 猪俣、2020、㈱誠文堂新光出版
根のデザイン 根が作る食料と環境 森田茂紀編、2003、養賢堂
作物生産学(II)-土壌環境技術編- 編集者 松本聰 三枝正彦、1998、文永堂出版
(参考文献)
根群発達の良好な土壌条件からみた畑地の有効土層の検討,三好洋,日本土壌肥料学雑誌 第43巻3号(1972)
畑作物の根系分布と収量との相互関係,番場宏治、大久保隆弘,日本作物学会紀事第48巻4号(1979)
香川県-土づくりの手引き
福島県農林水産部 肥料コスト低減に向けた技術マニュアル