土壌微生物をイメージしよう③

「ひかる泥団子チャンネル」です!今回は、土壌微生物シリーズ第3弾として「根粒菌」を解説します。根粒菌の特徴や活動環境、農業での活用方法について詳しく紹介。窒素固定で作物を支える彼らの働きを一緒に学びましょう!

ひかる泥団子チャンネルです

今回は、作物栽培に関わる土壌微生物をイメージしてみよう!その③です

栽培に関わる土壌の微生物、根粒菌について紹介します

根粒菌の概要や活動しやすい環境、農業の現場での活用方法について紹介します

まず、根粒菌について

根粒菌は細菌の仲間です

前の動画でも紹介したグラム陰性菌に分類されます

その生活は、マメ科植物などの根に共生して

空気中の窒素を固定しています

窒素を固定するのは

窒素ガスを窒素化合物に合成することをさします

根粒菌の場合は

根粒菌のもつ酵素を使って

窒素ガスからアンモニア態に変えて、窒素分としてマメ科植物に供給します

一方マメ科植物は、光合成で作った糖を根粒菌に分けています

根粒菌は、このもらった糖をエネルギーとして利用します

窒素は、作物栽培に重要な肥料の三大栄養素の一つです

その窒素を植物に与えるなんて、根粒菌、結構いい仕事しそうですよね

ただ、根粒菌が活動しやすい環境もあります

次に、その環境を2つ紹介します

①土に酸素が十分あること

根粒の生育には酸素が必要です

根の周りの酸素を不足させないためには

土の水はけを良くしましょう

②土の中に硝酸態窒素が少ないこと

硝酸態窒素が多いと、根粒菌はマメ科植物にあまり貢献できません

なぜなら、マメ科植物が硝酸態窒素を使って成長するようになり

根粒菌の活動は、弱まる傾向にあるからです

さて農業の現場での活用方法について、一つ紹介します

国内の大豆、小豆いった豆類の生産量1位は、北海道ですが

その北海道では、豆類の栽培に根粒菌の接種がすすめられています

確かに接種すると、大豆などの生育が良くなりそうですよね

ですが、もともと土にいる根粒菌と競合することもあり

微生物を活用した技術は、一筋縄ではいかないようです

参考になる部分はありましたか?

教科書などに載っている根粒菌も、少しは身近に感じられましたか?

お豆を育てている畑を見かけたら

根粒菌のことを思い出してくださいね

次回は、菌根菌について紹介します

★補足情報★

(参考書籍)

新版土壌肥料用語辞典 編者 藤原俊六郎 安西徹郎 小川吉雄 加藤哲郎、2005、農文協

エッセンシャル土壌微生物学 作物生産のための基礎 南澤究 妹尾啓史[編著者]青山正和 齋藤明広 齋藤雅典[著者]、2021、講談社

(参考文献)

ダイズ根系の酸素要求特性および水田転換畑における意義 阿江教治、仁紫宏保 日本肥料土壌肥料学会雑誌第54巻第6号p.453-459(1983)

ダイズの根粒活性制御機構の解明(第1報)-ダイズの根粒活性に及ぼす窒素の影響- 田村有希博 日本肥料土壌肥料学会雑誌第68巻第3号p.301-306(1997)

(参考サイト)

北海道クリーン農業 北海道施肥ガイド2020