土壌と水分について② 水分保持の要因
今回は水分の保持要因に焦点を当て、その考え方を紹介しています。イラストを使って毛細管現象の説明し、土壌に置き換えた場合はどう考えるかを解説しています。砂質土と埴土の違いや保水力の影響についても触れています。次回は土壌水分の測定方法と作物の水やりの目安について説明します。
土壌と水分について、3回に分けて解説しています。前回は用語について紹介しました。今回は、水分を保持する要因についてです。土壌と水分の関係ですが、私なりに、この考えかたで、たいてい“OK”というものがあるので、皆さんもぜひ覚えてみてください。
はい、この図を覚えてもらうだけで大丈夫です。このイラストは毛細管現象を表しています。毛細管現象って、理科(化学)の授業できいたような言葉ですよね。
管の太さによって水面の引き上げられる高さが変わるというもので、水の表面張力によって起きています。イラストのように管が、太いと水面の高さは低く、細いと水面は高くなります。
これを土壌でかんがえると次のようになります。
皆さんは、それぞれの土を、先ほどの管が入るとしたら、どんな太さの管が入りそうだと思いますか?
砂土は太い管、埴土は細い管が多く入りそうですよね。この“管”、土壌の隙間部分ということになりますが、“孔隙”といいます。
図では表し切れていませんが、土壌はいろいろな大きさの孔隙を含んでいます。
もう一度先ほどの毛細管現象のイラストに戻ります。
おさらいですが、管のなかは水が引き上げられています。“引き上げられている”を、土壌の場合に言い換えると、水分が保持されている状態です。保持されている強さは、管が細い、孔隙が小さい、ほうが強くなります。砂土は保持力が弱めで、埴土は強めということになります。この弱い・強いのメリットですが、保持力が弱いとメリットは水通りが良かったり、強いと長期間水分を保持できること、などが考えられます。いろんな場合に当てはめてみてください。
★補足情報★
(参考書籍)
新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]、2018、農文協
三訂版 視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録、2016、数研出版
新版土壌肥料用語辞典 編者 藤原俊六郎 安西徹郎 小川吉雄 加藤哲郎、2005、農文協