土壌のpHをあげよう①
土壌pHを上げたいときの参考になるような動画をつくりました。3本シリーズの1本目です。ほかの2本も、近々アップロードします。
今回は、土壌のpHをあげようです。3回に分けて説明します。今回は1回目です。別の動画で、土壌のpHが大切な理由を紹介しました。作物の栽培で、土のpHをあげたいと考える人は多いと思います。今回は、そもそも土のpHの、基本的なことを紹介します。土づくりにとりくむきっかけになればうれしいです。
まず、土のpHについて紹介します。
土のpHは、土の中の水素イオンの量を示しています。
水素イオンの量が多いと、pHは低くなり酸性になり、水素イオンの量が少ないと、pHがあがりアルカリ性になります。
実際の測定では、容器などに土壌と純水を加えて振り混ぜ、純水側に溶けだしてきた、土とゆるく結合している水素イオンの量を測っています。
次に、土壌のpHを考えるのに必要な土の性質を説明します。
それは、“土の粒子はマイナスを帯びている”ということです。
土全体でみたとき、マイナスに帯びているのですが、このマイナスの大きさを、“保肥力”、“CEC”と呼んだりします。
プラスのイオンであるカルシウムやマグネシウムといった植物に必要な養分は、このマイナスの部分に吸着し、土壌に保持されます。
マイナス部分に吸着するカルシウムやマグネシウムの量が、pHの動きの目安になっています。
一般的に、pHとCECの関係は次のようになっています。
CECに対し、吸着するカルシウムやマグネシウムの割合が少ない場合、土のpHは低く酸性の傾向にあります。
反対に、吸着するカルシウムやマグネシウムの割合が多い場合、土のpHは高い傾向にあります。
じゃあ、炭酸カルシウムや苦土石灰といった資材でカルシウム、マグネシウムを補給したらpHは上がりそうですよね。
確かにそうなんですけど、あんまり効果を感じないよって、話をきくことないですか?
これらの資材のなかには、すぐには水に溶けないものもあります。でも溶けないと土壌のpHって上がらないので、効果を実感できない場合があります。最終回でもうすこしお伝えします。
☆補足情報☆
(参考書籍)
土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版
新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]、2018、農文協