養分吸収と根の分布
根は養分を感じて分布していいるそうです。均一に鋤き込むだけでなく、いろいろな播きかたを考えるきっかけになればと思っています。
今回は、効率の良い施肥の考えかたについてです。作物を栽培する前に、肥料をまくと思います。肥料の播きかたには、鋤き込み、地表にバラまきなどがあります。
根が養分吸収するためにどんな動きをするか、その一部分を紹介します
まず、根の役割を確認しましょう。おおきく3つです。
1つ、地上部の茎や葉を支えること
2つ、水分・養分を吸収すること
3つ、養分を貯蔵すること です
どの役割がおもに発揮されるかは、生育環境や作物種などによります。今回は2つめのことをお伝えします。
まず簡単に根の水分・養分吸収について説明します。植物の成長に必要な水分や養分は、おもに根から吸収さます。吸収された養分が茎や葉に届けられることで、植物は光合成を十分におこなうことができます。
作物栽培では、根からの吸収のコントロールは、養分吸収のメカニズムを利用し施肥方法の工夫してます。今回は、施肥の工により根の分布を調べた試験報告を紹介します。
トウモロコシを用いたポット栽培の試験を紹介します。土を入れたポットの中に仕切りをつくって、一部分だけに肥料をまいておきます。トウモロコシの苗を中心に植え付けて、どの仕切り方がよく育つか調べます。結果は、仕切りの少ないポットの生育が良くなりました。仕切りが多いほうが、根がまんべんなく分布して生育がよさそうなのに違うんですね
根は養分がある場所を感じて、優先的に根を分布させていると考えられているそうです。ほかの試験では、施肥する場所を工夫すると肥料の効率が上がる結果もあります。根が養分のあるところに、生理的に分布するなら、施肥場所を工夫してもよさそうですよね。一部分を施肥する局所施肥法でもこの試験報告のような効果を期待できます。
【補足情報】
(参考書籍)
根の事典 新装版、根の事典編集委員会、2009、朝倉書店
土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版
根のデザイン、森田成紀編、2003、養賢堂
(参考文献)
不均一に分布した土壌におけるトウモロコシの成長、久米貴志 矢野勝也、2000. 根の研究9(4)
COMPARISION OF THE EFFECTS OF A LOCALIZED SUPPLY OF PHOSPHATE, NITRATE, AMMONIUM AND POTTASSIUM ON THE GROWTH OF THE SEMINAL ROOT SYSTEM, AND THE SHOOT, SEMINAL RROT SYSTEM, AND THE SHOOT, IN BARLEY, M. C.DREW, New Phytol(1975)75,479-490