栽培の土とやきものの土の違い

日々の生活で見かけるやきものにも、土が使われています。土の構成要素の面からみた作物栽培の土と焼き物の土の違いや、それに基づいた性質の違いについて説明します。

今回は、栽培の土とやきものの土の違いについてです。私たちが食事などで使っている湯飲みやお茶碗も土でできていると思いませんか?でも作物栽培の土と、何か違いますよね。

栽培の土と陶芸などで用いられる練土との違いについて、一部を紹介します。

動画では、栽培土壌で使われる用語で説明します。

今回は、このような流れで説明します。

土の三相→個体部分→土壌粒子→含まれる粘土の違い、の順です。

あらかじめ焼き物の土の特徴を説明すると

1つ、気体部分がないこと

2つ、粘土部分はおもに1:1型のものであることです

それぞれ説明していきます

土の三相から説明します

三相とは、固体の部分、液体の部分、気体の部分です。

栽培の土では固体部分が半分程度、気体部分も液体部分もある程度あるのが良いです。

一方、やきものの土の場合、固体と液体でできていて、気体はほぼありません。

土の固体部分には何が含まれているのでしょうか。

固体部分を大きく有機物と、無機物に分けて考えてみましょう。

栽培の土もやきものの土も、有機物・無機物を含んでいます。

こう見ると個体部分は一見似ているようにも考えられますが、無機物の中の”粘土”の種類が違っています。

粘土部分について説明します

粘土は、土を粒子の大きさで分けたときの一番小さな区分です。

粘土に含まれる多くの粒子は、岩石から一度溶け出した無機物が再配列・結晶化したものです。

結晶の種類はいくつかあります。栽培の土では、地域ごとの特徴はありますが1:1型、2:1型、非晶質などの種類が混ざっています。一方で、やきものの土はほぼ1:1型です。

1:1型の粘土は成形を簡単にし、焼いてもひび割れさせないといった特徴をもちます。

やきものの産地ではおもに1:1型の粘土が産出されます。

参考になる部分はありましたか。今回は栽培の土とやきものの土の違いについて説明しました。

土壌や土づくりが面白いなと思った方は、気軽に高評価や、チャンネル登録をお願いします。では、また次の動画でお会いしましょう。

★補足情報★

【固体部分の内容】

やきものの素地の組成は、粘土物質:石英:長石=30:30:40で考慮しました。粘土物質に6-12%程度の強熱減量があると想定しました。

【粘土の種類】

非晶質(アロフェン、イモゴライト)のものは結晶化程度がひくいため、動画では結晶だととれる説明になっていますが、厳密には結晶ではありません。

(参考書籍)

粘土ハンドブック 第三版 日本粘土学会編、2009、技報堂出版

粘土・焼成・釉薬の基礎と化学的メカニズムを知る やきものの科学 樋口わかな著、2021、誠文堂新光社

(参考文献)

わが国の低地土壌における粘土鉱物組成の類型化と地域的特徴 https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result13/result13_02.html