地形と地質⑤ 地質の影響が強い農地土壌

地質の影響が強い農地土壌とは?赤黄色土・富塩基土・褐色森林土の特徴を解説

「地形と地質シリーズ」第5回では、地質の影響を強く受けて形成された農地土壌について紹介します。

これまでの動画では、河川が運んだ土砂でできた沖積土や、火山灰を母材とする黒ボク土を取り上げてきました。これらは日本各地に広く分布している代表的な土壌です。

一方で今回は、その土地の岩石が長い年月をかけて風化することで形成された土壌に注目します。分布は限られていますが、それぞれ特徴的な性質を持ち、農業にも大きく関わっています。


地質の影響が強い土壌とは?

地質の影響が強い土壌とは、その場所にある岩石が長い年月をかけて風化し、形成された土壌のことです。

岩石の風化には、

  • 物理的風化
  • 化学的風化
  • 生物的風化

などがあり、長期間にわたって風化が進むことで、植物が生育できる土壌へと変化していきます。

今回紹介する土壌は、赤黄色土・富塩基土・褐色森林土の3種類です。


共通する特徴「粘土集積層」

これらの土壌に共通して見られる特徴の一つが、粘土集積層です。

これは、土壌中を移動した粘土が地下に集まり、層状になった部分を指します。

粘土集積層が発達していることは、その土地が長い期間にわたって安定した環境で風化を受けてきた証でもあります。

一方で、この層があることで排水性が低下したり、耕うんしにくくなったりするなど、農業では土壌の物理性に配慮が必要になる場合もあります。


赤黄色土

赤黄色土は、その名のとおり赤色から黄色を帯びた土壌です。

長期間の風化によって塩基類などの養分が流亡し、有機物も少なくなるため、地力は比較的低い傾向があります。

農業で利用する際には、

  • 土壌pHの改善
  • 有機物の補給

などの土づくりが重要になります。

活火山の少ない西南日本の一部や南西諸島などで見られる代表的な土壌です。


富塩基土

富塩基土は、塩基飽和度が高く、比較的pHが高いことが特徴です。

石灰岩や超塩基性岩など、特殊な岩石を母材として形成されるため、日本でも分布は限られています。

代表的な分布地域としては、

  • 南西諸島
  • 岡山県新見市周辺
  • 千葉県鴨川市周辺

などが挙げられます。

南西諸島では、この土壌を利用してサトウキビ栽培が行われています。


褐色森林土

褐色森林土は、森林の下で発達する土壌で、山林に近い農地などでよく見られます。

今回紹介した3種類の中では比較的分布が広く、火山灰の影響が少ない地域を中心に見られます。

北海道北部をはじめ、北陸・中部・近畿・中国地方・四国などに分布し、水田よりも畑作や果樹栽培などで利用されることが多い土壌です。


地質の違いが土壌の性質を変える

同じ農地であっても、その土地をつくっている岩石が異なれば、形成される土壌の性質も変わります。

今回紹介した赤黄色土・富塩基土・褐色森林土は、日本全体では限られた地域に分布していますが、それぞれの特徴に応じた土づくりや栽培管理が行われています。

次回は、地質図を使いながら、地域ごとの地質と土壌の関係について詳しく紹介する予定です。


地域の土壌を知ることが、適切な土づくりにつながります

土づくり企画では、土壌分析や施肥設計、土づくりの提案を行っています。

今回紹介したように、農地の土壌は、河川や火山灰の影響だけでなく、その土地の地質によっても性質が大きく変わります。同じ作物を栽培していても、地域や圃場が違えば、必要となる土づくりや施肥管理も異なります。

そのため、土壌分析の数値だけでなく、地形や地質、圃場の成り立ちまで踏まえて考えることが、より効果的な栽培管理につながります。

土壌分析の活用方法や、圃場に合わせた土づくりについて詳しく知りたい方は、ぜひ土づくり企画の事業内容をご覧ください。

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★補足情報★

(参考書籍)
日本の土壌事典 分布・生成から食料生産・保全管理まで 日本土壌肥料学会 日本ペトロジー学会[監修]、2023、朝倉書店