地形と地質③ 氾濫原(自然堤防・後背湿地)、台地

河川がつくる地形とは?氾濫原・自然堤防・後背湿地・台地の特徴を解説

「地形と地質シリーズ」第3回では、平野部でよく見られる地形について紹介します。

今回取り上げるのは、河川によって形成される**「氾濫原」と、その中に見られる「自然堤防」「後背湿地」、さらに平野より一段高い場所にある「台地」**です。

これらの地形は、土壌の性質や水はけが異なるため、栽培される作物や農業の利用方法にも大きく影響しています。


河川が地形をつくる3つの働き

河川には、大きく分けて3つの働きがあります。

1.侵食作用

川の流れによって地面を削る働きです。

この作用によって谷が形成され、河岸段丘などの地形がつくられます。

2.運搬作用

侵食によって削られた土砂を下流へ運ぶ働きです。

粒子の細かい土ほど遠くまで運ばれ、河川沿いだけでなく平野部にも広く分布します。

3.堆積作用

川の流れが緩やかになると、運ばれてきた土砂が積もります。

粒の大きな土砂から順番に堆積し、その積み重ねによってさまざまな地形が形成されます。


氾濫原とは?

氾濫原とは、洪水時に川の水があふれて浸水する範囲の土地を指します。

洪水のたびに水とともに土砂が運ばれ、長い年月をかけて肥沃な平野が形成されてきました。

流れが緩やかな地域では、洪水によって川の流路が変わることもあります。

日本の平野部の多くは、このような氾濫原の上に発達しており、農業にとって非常に重要な地形です。


自然堤防

氾濫原の中でも、川のすぐ近くには自然堤防と呼ばれる少し高くなった場所があります。

洪水時に粒の大きな土砂が川沿いに堆積することで形成されます。

周囲より水はけが良いため、果樹園や畑、集落が立地することが多い地形です。


後背湿地

自然堤防のさらに外側には、後背湿地が広がります。

洪水時には細かい粒子が堆積し、水がたまりやすい地形となります。

そのため排水性はあまり良くありませんが、水を利用しやすいことから、水田として利用される地域が多く見られます。

同じ氾濫原でも、自然堤防と後背湿地では土壌や水環境が大きく異なり、それぞれに適した農業が営まれています。


台地とは?

台地は、周囲の平野より一段高い場所にある地形です。

代表例として、利根川下流域の下総台地や常陸台地が挙げられます。

現在の台地は、1万年以上前に形成された扇状地や平野が、その後の地殻変動などによって高くなったものです。

「洪積台地」と呼ばれることもあります。

土壌は水はけが良すぎたり、保肥力が低かったりする場合もありますが、有機物の施用や土壌改良などを行うことで、現在ではさまざまな農作物が栽培されています。


地形の違いが農業を変える

今回紹介したように、平野部であっても地形によって土壌の性質や水はけは大きく異なります。

自然堤防では畑や果樹園、後背湿地では水田、台地では土壌改良を行いながら畑作が行われるなど、地形の違いが農業の形にも反映されています。

身近な農地でも、「どのような地形の上にあるのか」という視点で見てみると、新たな発見があるかもしれません。


地形を知ることで、土壌分析をより活かせます

土づくり企画では、土壌分析や施肥設計、土づくりの提案を行っています。

同じ地域であっても、自然堤防・後背湿地・台地など地形が異なれば、土壌の性質や水の動きも変わります。そのため、土壌分析の結果は数値だけを見るのではなく、「どのような地形にある圃場なのか」という視点をあわせて考えることが重要です。

圃場の特徴を踏まえた土づくりや施肥管理について詳しく知りたい方は、ぜひ土づくり企画の事業内容をご覧ください。

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★補足情報★

(参考書籍)
新版土壌肥料用語辞典 編者 藤原俊六郎 安西徹郎 小川吉雄 加藤哲郎、2005、農文協
最新地理図表GEO(改訂28版)、2023、第一学習社
三訂版 視覚でとらえるフォトサイエンス地学図録、2016、数研出版
地形のきほん やさしいイラストでしっかりわかる 目代 邦康/著、2025、誠文堂新光社