おまけ・前編

植物の根っこまわりには、いろんな微生物が集まってきて、いい影響をくれることもあれば、逆にトラブルのもとになることもあります。今回は同じ作物を育て続けると起こる「連作障害」に注目しています。北海道のテンサイを例に、どうやって対策してるのかも紹介してます。土の中の世界、ちょっとのぞいてみませんか?
ひかる泥団子チャンネルです
今まで4回の動画をふまえた、おまけ・前編です
今回は、おさらいも含めて、農業生産上のリスクに焦点をあてます
土壌中の特定の微生物は、
根から分泌される物質を求めて
根圏に集まってきて、植物の生育に影響を与えています
ですが、いい影響ばかりじゃありません
「連作障害」といったリスクにつなげてお話しします
はじめに4回の動画のおさらいです
まず、植物と微生物は、大昔から共生しながら生活してきました
つぎに、根圏でふえる微生物の種類ですが
共生する微生物や、植物に良い影響を与える微生物がいます
さらに、根粒菌という細菌は、マメ科植物と共生しています
根粒菌は、酸素が多く、窒素が少ない土壌で
植物に窒素を供給します
菌根菌は、作物・樹木を含めて広い範囲で共生できる糸状菌です
リン酸や水分を植物に供給することができます
ただ農業の場合、一度に同じ作物をたくさん栽培するので
特定の微生物が集まり過ぎてしまい
あだとなることがあります
作物を育てた後の土って
その作物の根圏に増えていた微生物が多くなりそうですよね
特定の微生物ばかりになることを 「微生物の多様性が低くなる」 と表現します
連作障害を起こしやすい作物と
土の微生物の多様性には傾向があります
微生物の多様性を低くしてしまう作物ほど、連作障害を起こしやすいようです
微生物の多様性を低くしやすく
また連作障害を起こしやすい作物の例として
テンサイがあげられます
テンサイは砂糖の原料で
北海道の道東を中心に栽培されている作物です
現地では連作障害が起きないように
豆類、じゃがいも、秋まき小麦、最後にテンサイといった
4年輪作などが行われています
でもじつは、連作障害の原因って複雑なんです
微生物の多様性が低下する以外にも
栽培後の土がリン酸過剰になっている、
苦土加里比が低下しているなどといったことも
連作障害に関わっているようなのです
作物をうまく育てるためにも、積極的に輪作したり
連作しなくてはならない場合には
土壌消毒や堆肥などの有機物の作用といった取り組みが大事になります
★補足情報★
(参考書籍)
実践土壌学シリーズ1 土壌微生物学 豊田剛己[編]、2018、朝倉書店
(参考文献)
松口龍彦:根圏微生物の機能と作物の生育,農業技術41(10),p.451-457,1986
松﨑守夫:十勝地方中央部における畑作物の輪作体系と連作障害発生の解析,北海道農研研報,201,1-69,2013
(参考サイト)
北海道農業・農村の姿