地形と地質⑤ 地質の影響が強い農地土壌

今回のテーマは「地質の影響が強い農地土壌」!
赤黄色土、富塩基土、褐色森林土の特徴や、農業との関係をわかりやすく解説しています。
地形や地質に興味がある農学部生に向けた内容です。
次回は地質図を使って土壌をさらに深堀り!

【052】地形と地質⑤ - YouTube

今回のテーマは「地質の影響が強い農地土壌」!赤黄色土、富塩基土、褐色森林土の特徴や、農業との関係をわかりやすく解説しています。地形や地質に興味がある農学部生に…

ひかる泥団子チャンネルです!
今回も地形と地質をテーマにお届けするシリーズの第5回。
「地質の影響が強い農地土壌」について紹介します!
限られた場所にしかない土なのですが、それぞれの土の農業には特徴があります。

今回の、「地質の影響が強い土壌」とは、長い時間かけて、その場所で岩石が風化したりしてできた土のことを言います。風化には、物理的風化、化学的風化、生物的風化があります。岩石が長い期間、風化を受け続けることで植物が育ちやすい土壌にいなります。

ここ数回の動画シリーズでは、川が運んだ土砂でできた「沖積土」や、火山灰の影響を受けた「黒ボク土」を紹介してきました。これらの土はひろく分布しているので、日本の農地によくみられます。

今回紹介する土の分類は、「赤黄色土」「富塩基土」「褐色森林土」の3つです!
それぞれの特徴はあとで紹介しますが、まずは、共通してよく見られる特徴を紹介。
その特徴というのは、地面の下の方に「粘土集積層」っていう、粘土がたまった層がよく見られることです。粘土が層になってたまるというのは、これらの土壌が、安定した環境でじっくりと風化を受けてきたというしるしです。
この粘土層があると、農業利用面では、水はけが悪くなったり、物理性でちょっと苦労することもあります。

では「赤黄色土」から。
名前のとおり、見た目は赤っぽかったり黄色っぽかったりする土です。
特徴は、長いあいだ風化を受けてきたことで、陽イオンなどの栄養分が抜けたり、有機物が少なくて地力が低めです。農業利用では、pHの矯正や有機物の補給が必要な土壌です。
活火山が少ない西南日本の一部や、南西諸島に多く分布していますよ!

続いて「富塩基土」です。
この土壌の特徴は、塩基飽和度が高いことで、土壌のpHが高いこと。
富塩基土は、石灰岩とか超塩基性岩などの、すこし特殊な岩石がもとになっている土壌です。
このような岩石はあまり広く分布していないので、富塩基土自体結構レアです。
南西諸島、岡山県の新見市、千葉県の鴨川市などに点在しています。
南西諸島の富塩基土では、サトウキビが栽培されています。

最後は「褐色森林土」
この土壌は、森林で発達する土壌という意味で、山林に近い農地にみられます。
紹介している3つの土壌の中では、比較的よく見られる土です。
火山灰の影響が少ない地域に広く分布していて、北海道北部とか、北陸・中部・近畿・中国地方・四国などの農地にみられます。
農業では、水田以外の栽培に利用されることが多いです。

どうでしたか?
今回は、川や火山灰の影響が少ない、地質の影響を色濃く受けた土たちを紹介しました。
次回は、地質図を使いながら、具体的な地域ごとに土壌を見ていこうと思っています!

★補足情報★

(参考書籍)
日本の土壌事典 分布・生成から食料生産・保全管理まで 日本土壌肥料学会 日本ペトロジー学会[監修]、2023、朝倉書店