土壌pHが大切な理由について
作物の栽培にとって土壌中のpH管理は大切です。どういった理由で大切なのか、3つの理由を紹介しています。
【内容】
ひかる泥団子チャンネルです。
今回は、土壌pHが大切な理由についてです。pHは、酸度とも呼ばれ、多くの作物では、土壌のpHが5.5-6.5程度の管理が良いとされています。
作物の栽培において土壌のpHは重要とされていますが、どうしてなのか、その理由の一部を今回は紹介します。
今回のポイントは、土壌のpHによって成分の形態が変わる、ということです
土の中にあるいろいろな成分は、pHによって形態が変わり、土壌溶液中に溶けたり、土壌に吸着したりします。
成分の形態が変わることで、作物の生育にとって3つの影響があります。
1つ、養分の有効性が変わることで過不足が起きる
2つ、酸性になった場合、アルミニウムが溶け出し、生育に障害を引き起こす
3つ、糸状菌・細菌といった微生物の活動に変化が起き、病害が発生するきっかけになる、ということです。ひとつずつ見ていきましょう
まず養分の有効性について説明します。図のそれぞれの幅の高さが有効性の高さを示します。
pHが低くなると有効性が低くなるもの、反対に高くなるものがあります。
全体的にみるとph5.5-6.5あたりが養分の過不足や、アルミニウムの害がなさそうです。
ただし、植物ごとにいろんな養分獲得方法があるため、個々の最適pHは様々です 。
2つ目に、アルミニウムによる障害についてです。土壌が酸性になるとアルミは溶け出しやすく、根の伸長阻害などを起こします。特に“黒ボク土”などで問題が起きやすいです。
栽培においては、アルミが溶け出しにくいpH5.0以上での管理が重要です。
最後に微生物の活動についてです。ここでも幅の高さが、活動の活発さを表しています。細菌の場合、土壌のpHが低くなると活動が鈍くなります。一方で、糸状菌の活動はあまりpHに影響をうけません。pHが低くなることで、糸状菌による作物の病気が発生するきっかけになります。
参考になる部分はありましたか。今回の動画では、土壌pHが大切な理由について説明しました。 土壌や土づくりが面白いなと思った方は、気軽にいいねや、チャンネル登録をお願いします。では、また次の動画でお会いしましょう。
【補足情報】
(図中の野菜)
ネギ、ホウレンソウ、ナス、トマト、キャベツ
(参考図書)
新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]