土壌のpHをあげよう②
土壌pHを上げたいときの参考になるような動画をつくりました。3本シリーズの2本目です。pHが上がりづらい土壌の種類について説明します。最後の1本も、近々アップロードします。
今回も、土壌のpHをあげようです。3回に分けて説明します。今回は2回目です☆実は土壌には、pH改善の効果を感じにくい土壌もあるんです。変異荷電というものが関わっています。変異荷電の動きや効果を感じにくい土壌の特徴について紹介します。土づくりにとりくむきっかけになればうれしいです。
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前回の動画で、土のマイナス部分に吸着しているカルシウム、マグネシウムの割合が小さいとpHが低く酸性の傾向があり、カルシウム、マグネシウムの割合が高いと、pHが高くなる傾向がある、と説明しました。
この、土のマイナスの部分ですが、具体的には、2:1型粘土鉱物、アロフェンなどの無機物や、腐植などの有機物の末端にできるマイナスが担っています。
このあたりの部分には永久荷電、ここを変異荷電と呼ばれる性質があります。
それぞれの特徴について紹介します。
まず、永久荷電ですが、土のpHが上がっても、下がってもマイナス部分に変化はありません。そのため、マイナス部分の量を表すCECは、土のpHによらずほぼ一定です。
一方の変異荷電は、土のpHの影響を受け、マイナス部分が変化します。pHがあがるとマイナス部分が増えてCECは増加します。
こういった性質があるため、変異荷電の多いアロフェンや、腐植などを多く含んでいる土壌では、CECの変化もあるためpH改善の効果が感じづらいといったことがおきります。もう少し詳しくお話しします。
例えば、有機物が多い土壌で、炭酸カルシウム、苦土石灰を投入した場合を考えます。カルシウム、マグネシウムの吸着量が増えるので、土のpHもあがります。ですが、マイナス部分も増えて、結果CECが増加します。マイナスに結合したカルシウム、マグネシウムの割りあいが高まることで、pHが動く目安になっています。
投入前後をみてどうですか?必ず少しはpHは上がっているんです。
日本では、有機質土、黒ぼく土で、効果を感じづらい場合があると考えています。
☆補足情報☆
(参考サイト)
日本土壌インベントリー
(参考書籍)
土壌サイエンス入門 第2版、木村眞人 南條正巳、2018、文栄堂出版
新版土壌学の基礎 生成・機能・肥沃度・環境 松中照夫[著]、2018、農文協