石灰苦土比、苦土加里比について

土壌診断の項目にある、石灰苦土比や苦土加里比といった項目をご存知ですか?適正な石灰・苦土・加里のバランスを保つことで、品質のいい作物生産を期待できます。

【内容】

ひかる泥団子チャンネルです。
今回は、土壌診断項目の石灰苦土比や苦土加里比ついて説明します。☆土壌診断とは、水田や畑作、果樹園の、土壌の状態を知るために行います
pHや電気伝導度(EC)いった項目は聞いたことがある人もいるかもしれません。すこしマイナーな石灰苦土比や苦土加里比ですが、これらの項目についてお伝えします

まず、土壌診断について紹介します。
農耕地土壌の診断には、大きく3つあります
化学性診断、物理性診断、生物性診断です
pHや電気伝導度、石灰苦土比、苦土加里比は、化学性の診断項目に該当します。
石灰苦土比、苦土加里比について、もう少し詳しく説明します

ここで今回のポイントですが、土壌の養分もバランスが大事ということです。
石灰苦土比、苦土加里比とは、石灰=おもにカルシウム、苦土=おもにマグネシウム、加里=おもにカリウムのこれらのバランスのことを指します。化学性の土壌分析では、養分であるカルシウムや、マグネシウム、カリウムの蓄積がどの程度か調べます。調べたうで計算しバランスがとれているか判断します。バランスを崩しているとどうなるのでしょうか

キュウリとトマトを用いた報告があります。
土壌中のカルシウムとマグネシウム、カリウムの比率を、それぞれいくつかの段階を設定して栽培します。
栽培した後は、収穫物の量や等級、病害の発生程度など、様々な品質について調べます。

この時の報告では、良いときの栽培に比べ、マグネシウムが割と少ない、カリウムが割と多いといったバランスの時、品質低下の傾向が強いとのことでした。
バランスを整えることで、品質のよい作物がたくさんできると期待できそうですよね。

この試験ではキュウリとトマトでしたが、各作物、各地域の適性なバランスがあります。
具体的な適性値は、概要欄にあるサイトから検索できます。

参考になる部分はありましたか。今回の動画では、土壌診断項目の石灰苦土比や苦土加里比ついて説明しました。
土壌や土づくりが面白いなと思った方は、気軽に高評価や、チャンネル登録をお願いします。では、また次の動画でお会いしましょう。

【補足情報】

(参考書籍)
新版土壌肥料用語辞典 編者 藤原俊六郎 安西徹郎 小川吉雄 加藤哲郎、2005、農文協

(参考文献)
江口洋、ハウス土壌における養分過剰集積とその改善対策、1994、鹿児島県農業試験場研究報告

スライドではポット栽培のように表現していますが、実際はハウス内での栽培実験です。
全ての作物が今回の説明のようにはならないことにご留意ください。

飯塚隆治、野菜の生育障害(1)、1991、化学と生物 vol.29,No.10 679-688
飯塚隆治、野菜の生育障害(1)、1991、化学と生物 vol.29,No.11 746-753

土づくり企画のホームページ内の検索サイトから
各都道府県の石灰苦土比、苦土加里比の値を検索できます。
石灰苦土比はCaO/MgO(当量比)、苦土加里比はMgO/K2O(当量比)に該当します。