表面張力 ~土が水を「つかむ」力の正体

今回は「土の保水性シリーズ」の第1回として、水の「表面張力」を解説します。
「なぜ土は水を保持できるの?」「水が丸くなるのはなぜ?」を、石鹸膜の式 (W=2σlx) も使いながら、イラスト中心で分かりやすく説明しています。
次回は、表面張力と深く関係する「毛管現象」を解説します。

【057】表面張力 〜土が水を「つかむ」力の正体~ - YouTube

今回は「土の保水性シリーズ」の第1回として、水の「表面張力」を解説します。「なぜ土は水を保持できるの?」「水が丸くなるのはなぜ?」を、石鹸膜の式 (W=2σlx) も使い…

【はじめに】
ひかる泥団子チャンネルです。
今日は「土の保水性」についてお話しします。
なぜ土は、雨が降った後も
水を蓄えておけるのでしょうか?
その秘密の一つが、水の「表面張力」です。
学生のころ、「表面張力の式って何それ?」と、
私は物理性の理解に苦戦しました。
今回は、できるだけイメージで分かるやすく、
かつ、式も省略せずに説明してみます。

【表面張力とは】
表面張力とは、水分子どうしが引き合って、
水の表面をできるだけ小さくしようとする性質です。
水の表面では、分子が内側に引っ張られるので、表面が縮もうとします。
その結果、水滴は丸い形になろうとします。
また、水の表面張力は温度によって変わります。
低温では大きく、高温で小さくなります。
表面張力は、数式の中では、σ(シグマ)で表せれます
表面張力って、感覚的には、
低温の水ほど「表面を広げたくない力」が強いイメージです。

私は、ゴム風船みたいなイメージで考えると分かりやすかったです。
ゴムを伸ばすには力が必要ですよね。
水の表面も、広げようとすると抵抗する性質があります。

【表面張力の式】
では、表面張力の式も見てみます。
表面張力の説明では、よく「石鹸膜」の実験が使われます。
コの字型の針金に石鹸膜を張って、横棒を動かす実験です。
ここで、横棒のたての長さを l、
動かした距離を x、表面張力を σとすると、
W=2σlx
このような式で、表されます。
仕事量 W= 2σlxです。
この式のポイントは、右辺に「2」が付いているところです。
石鹸膜には、表と裏の2つの面があります。
その両方の面で表面張力が働くので、2倍になります。
もし水滴のように、空気に接している面が1つだけなら、この「2」は不要です
つまり、水の表面を広げるにはエネルギーが必要ということです。
逆に言うと、水は自然には広がりたがらず、縮もうとする。
これが表面張力です。
そして、この「縮もうとする性質」が、
土の細かい隙間に水を、保持する力にも関係してきます。

【現場での例】
農業の現場でも、保水力に直接関係はないですが、
表面張力の影響を見ることがあります。
例えば、水滴を地面に落とした場面を考えてみます。
① 砂地に落とした場合
② 有機物がたくさん蓄積した土に落とした場合
この2つの場面では、水のしみ込み方が違うことがあります。
有機物が多い土では、水滴がすぐに浸み込まず、はじかれて転がることがあります。
これは、水と土の「接触角」が大きくなるためです。
つまり、水が土になじみにくい状態ということなんです。
表面張力の影響は、水そのものだけではなく、
「どんな固体に接しているか」によっても変わってきます。

【おわりに】
参考になる部分はありましたか?
今回は、表面張力について説明しました。
「水は表面積を小さくする方向に縮もうとする」と覚えてもらえればOKです。
このイメージがあると、次回の「毛管現象」がかなり理解しやすくなります。
土づくりの科学に興味が出てきた方は、ぜひ動画に高評価・チャンネル登録をお願いします!
では、また次の動画でお会いしましょう。

★補足情報★

【参考サイト】
ウィキペディア(表面張力)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E9%9D%A2%E5%BC%B5%E5%8A%9B

【参考書籍】
土壌物理学 宮崎 毅 (著) 、朝倉書店、2005
新編土壌物理用語事典 土壌物理学会 (編集)、養賢堂、2002
改訂版 視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録、数研出版、2024

*土壌物理学 宮崎 毅 (著) 、朝倉書店、2005かみ砕いた内容に近くなっています。