ケイ素!どこにあるの?どれだけあるの?何してるの?

土壌に最も多く含まれる元素のひとつ「ケイ素」について、地殻や岩石、土壌中での割合から作物への影響までを解説します。土には大量に含まれているケイ酸ですが、水稲や野菜で報告されているケイ素の効果にも触れ、土づくりを考えるための基礎視点を紹介します。
【054】ケイ素 - YouTube
土壌に最も多く含まれる元素のひとつ「ケイ素」について、地殻や岩石、土壌中での割合から作物への影響までを解説します。土には大量に含まれているケイ酸ですが、水稲や…
ひかる泥団子チャンネルです
今回から3回に分けて、土壌にとても多く含まれている元素である
ケイ素、アルミニウム、鉄についてお話ししていきます
どの元素も、栽培においてはあまり目立たないのですが
実は土壌の性質や作物の生育に深く関わっています
この動画を見た後に
次に土の上に立った時には
この3つを思い出してもらえればと思います
まず今回は、ケイ素から見ていきましょう
はじめに、地殻・岩石レベルでケイ素を見ていきましょう
まず、土壌中のケイ素を知る上で
地球の表面に近い部分
地殻の元素組成を見てみます
一番多いのは酸素で約45(46!)%
多いのがケイ素で約27%
その後にアルミニウム・鉄と続きます
つまり地球の表面は
酸素とケイ素・アルミニウム・鉄でできていると言っても言い過ぎではありません(!?)
次に火山活動で形成される、火成岩の組成を見てみましょう
火成岩は岩石のでき方やケイ酸の含有量によって種類があります
ケイ酸って重要な要素なんですね
岩石を構成する化学組成のグラフを使ってケイ酸量の違いを見てみましょう
例えば深成岩に分類される花崗岩のケイ酸量は
約77%を占めていて高い値です
一方、玄武岩のケイ酸は約52%まで下がります
面白いのはケイ酸が少なくなると
鉄やマグネシウムなどの他のミネラルが増えるという点です
つまりアルミニウムや鉄などの他の成分は
ケイ酸の含量に大きく影響を受けています
では岩石が風化してできた土壌ではどうでしょうか
土壌の平均的な化学組成の例を見ると
有機質部分に該当するものが17.35%
ケイ酸が51.00%、酸化アルミニウムが17.53%、酸化鉄が7.30%
酸化カルシウムが1.43%、酸化マグネシウムが1.72%、酸化カリウムが1.23%とあります。
岩石中の多くの元素は酸素と結びついているので
数値は、酸化物で表示されています
ケイ素と酸素が結合しているケイ酸は
51%と半数を占め、土壌中でもやはり圧倒的に多いです
ここで一つカルシウムの例を出して
ケイ素の含有量についてもう少し触れます
先ほどの例を参考にすると、土壌中には酸化カルシウムが約1.4%含まれています
土壌診断でよく分析される「交換性石灰」も同じく酸化カルシウムの値です
1.43%を土壌診断での値に直すと
土壌100gあたり、1430mgになります
通常、農地土壌での交換性石灰の基準は
土壌100gあたり200~500mg程度です
これらの数値を見ると土壌に含まれる酸化カルシウムは
基準値よりも約3~7倍多いことになります
しかし作物は、土壌に含まれている石灰をすべて使うことはできません
含まれている量
使える量は違うというのが
土壌の難しいところの一つです
そのため作物が使える石灰、「酸化カルシウム」の量を
「交換性石灰」と呼び基準値などが設けられています
話がそれちゃいましたが、ケイ酸についてみると
量だけを見ると、土壌診断の交換性石灰などと同じ単位にしてみると
土壌100gあたり…5万1000mgとも考えられます
この数値だけでも
土にケイ素・ケイ酸はもう十分すぎるほどあるという印象を受けます
こんなにたくさんあるケイ酸ですが
作物にどのような影響を与えているのでしょうか
作物への影響を紹介するために
まず土に含まれるケイ酸の種類をもう少し細かく見ていきましょう
農地土壌の中のケイ酸は、礫や砂などの一次鉱物
スメクタイトやカオリナイトなどの結晶性の粘土鉱物
火山灰土壌に含まれるアロフェンやイモゴライトなどの粘土鉱物
さらに土づくり資材のケイカルやゼオライト、堆肥などの有機物にも含まれます
いろんなものにケイ素・ケイ酸が含まれています
植物が利用するときは
オルトケイ酸という分子量が小さいケイ酸を吸収しています
植物栄養の分類では、ケイ素はすべての植物に必須ではないので
有用元素とされています
作物にもよりますが
ケイ素は生育にとても重要な役割を果たしています
とくに水稲栽培でケイ素は重要で
その役割について説明していきます
イネはケイ素を非常によく吸収し
他の作物の吸収が
地上部重量で1-4%程度しか含まないのに対し
イネは15%近くまで含まれることもあります
ケイ素のイネへの効果ですが
十分にあると倒伏しにくくなり
受光体勢も良くなります
受光耐性が良くなると
抗合性医療が増えます
また茎や葉も硬くなるので
病害虫にも強くなります
北海道では低たんぱく米生産の指標として
茎や葉の中のケイ酸含有量が利用されています
目標値は、茎や葉のケイ酸含有量が13%以上とのことです
ケイ素の効果は水稲だけでなく
他の作物でもあげられていて
一例をあげるならば
キュウリでうどんこ病が抑制されるなどの報告があります
いかがでしたか?
ケイ素は土壌に多く含まれていて
水稲栽培に良い影響を与えることが多い元素です
次回は、ケイ素の次に土壌に多く含まれるアルミニウムについてお話しします
ケイ素と同じく土壌に多い元素なのですが
こちらは条件次第で、作物に害を与える存在になります
では、また次の動画でお会いしましょう
★補足情報★
(参考書籍)
三訂版 視覚でとらえるフォトサイエンス地学図録,,研出版
土壌サイエンス入門 第2版,木村眞人 南條正巳,文栄堂出版
作物生産学(II)-土壌環境技術編- 編集者,松本聰 三枝正彦,文永堂出版
土と食糧―健康な未来のために (普及版),日本土壌肥料学会【編】,朝倉書店
新植物栄養・肥料学,米山 忠克・長谷川 功・関本 均(編),朝倉書店
最新地理図表GEO(改訂28版),第一学習社
作物用語事典,日本作物学会【編】,農山漁村文化協会
(参考サイト)
低蛋白米生産のための稲体および土壌のケイ酸指標
https://www.hro.or.jp/agricultural/center/result/kenkyuseika/seikajoho/h07s_joho/h0700005.htm

